自動車とアウトバーンと †
大手の自動車企業に連合を組ませ、軍事利用できる車両の開発を進ませます。
また、恐慌対策の公共事業としてアウトバーンを南ドイツに作ります。
うむ。いいんじゃないか？それとブリューニング君、少し話がある。
何でしょう？閣下。
単刀直入に聞くが、君はどのような計画でドイツ帝政復古を考えている？
……そうですね……計画はありますがいかんせん我々は国会における勢力が弱すぎる。
これをまずどうにかしないといけないですな。ＳＰＤと組むことが妥当と思いますが……
何！？ＳＰＤとだと！？貴様もアカに染まったか！ブリューニング！
い、いいえ！これはあくまで一つの案に過ぎません。
しかし閣下、ＳＰＤ以外と協力するのであれば「あの政党」しか選択肢が無くなりますが……
むう……
賽は投げられた †
今のところ打てる経済政策は全て打ちました。これからのドイツの行く先を決めねばなりません。
当然、「帝政」だッ！
それは私としても望むところです。
国会への根回しは大丈夫なのか？ブリューニング君
それが問題なのです。我々は国会で過半数すら取れていない。どこかの政党と手を組む必要があるのですが…
確か今の国会の第一党はＳＰＤだったな。そして第二党が……ＮＳＤＡＰ……
ナチかＳＰＤか、大統領、どちらになさいますか？
……
アカかぶれと手を組むよりかは、極右のナチと組む方が……
(！)
な、なりません！
マッケンゼン！？
ナチ共と組んではなりませんぞ、閣下！確かに奴らは協力を頼めば了承してくれるでしょう、しかし！
奴らはいずれ牙を我々み剥きます！奴らは我々をこの国の頂点に立つための踏み台としか考えていません！
そしてナチが権力をを握れば、奴らはドイツを破滅へと導いていくでしょう！ＳＰＤの方がまだマシです！
第一、オーストリアから来た胡散臭い伍長(ゲフライター)なんぞに、このドイツの命運を託せますか？
……そうか、意見をありがとう、マッケンゼン。
少し取り乱してしまいました。お許しください。
君がそこまでＮＳＤＡＰとの協力を拒むということは、やはり組むべきではないのだろう。
では、ＳＰＤと組むのですか？
ああ、組むのもやぶさかではない。しかし、彼らの帝政復古への賛成を取り付けてからだ。それまでは信用できん…
わかりました。連絡を取ってみます。
というわけだ、ミュラー。
帝政復古ですか……私個人としてはともかく、ＳＰＤとしては難しいですね。
しかし、我々が「反ナチス」を掲げ国会内で団結することはできます。それが最初の一歩でしょう。
ひとまずそちらの方と我々で反ナチス戦線を形成しましょう。帝政復古の件についてはこちらで根回しをしておきます。
おお、ありがたい。早速大統領閣下に伝えてこよう。
あ、条件を付けさせてください
なんだ？
ＳＰＤを今後禁止しないこと。それと、帝政復古後も議会を重んじること、です。
わかった、伝えておこう。
とのことでした
受け入れられる条件だ。いいだろう。反ナチス戦線の結成だ！
大変です！党首！
どうした、ヘス？
右派のブリューニング内閣をＳＰＤが支援することを表明しました！事実上の大連立です！
彼らは我が党に対抗するために組んだとのことです！どうします？突撃隊ででカチコミかけますか？
待て待て、慌てるな。国民の支持はこっちに傾いてきている……
(何故だ……ヒンデンブルクは決してＳＰＤとは組まないと思ったのに……)
志半ばで †
今後動いていく上で少し厄介なことが起こりました。
ん？なんだね。
我が国でで帝政復古の動きが見られたからかどうかは知りませんが、英仏が同盟を組みました。
帝政復古しようと思っただけでこれか。向こうも神経質な物だな。
ですが、今現在の影響はあまり無いので我々も気にすることはないでしょう。
それもそうか。
さて、帝政を復古しようと決まれば色々と下準備をしなければなりません。
ＳＰＤの協力は取り付けられそうですが、まずは足元を固めなければなりません。私の中央党にも協力を要請します。
右派政党のドイツ国家人民党(ＤＮＶＰ)も同様です。
うむ。皇帝陛下を帰還させるためには議会の支持が不可欠だ。その方向で行ってくれたまえ。
また、恐慌でダメになった農業も改革していきます。
まぁ、いいんじゃないか。
そして……
ナチの私兵である突撃隊を一掃するため、ＤＮＶＰと提携している組織、鉄兜団(シュタールヘルム)を動員します
ま、まぁ目には眼を歯には歯をとは言うしな。暴力には暴力が一番だろう。
(突撃隊を潰しにかかってきたか……)
ドイツ国民よ、ブリューニング内閣への攻撃を開始せよ！彼は我らの国をする勇敢な突撃隊を弾圧する売国奴である！
第一、彼が政権を取っても、大恐慌の影響はまだ残っているではないか！
＊＊＊
ブリューニング辞職しる！ブリューニング辞職しる！
弱りましたね……私への批判が高まってきている。
ナチは腐っても第二党だ。その組織力は伊達では無い。
……これは私が現政権への批判をかぶり、志を同じくする者に内閣を継がせた方が良いかもしれませんな
……すまないな。守ってやれなくて。
いえいえ。いいのです。それで、私が後継に推薦するのは……
Another day,another... †
この度首相となりました、パーペンです。
ブリューニング君のことは残念だったが、これからよろしく頼むぞ、パーペン君
はい。ブリューニングから帝政復古の計画は知らされています。お任せください。
国会で味方に取り込める可能性があるのは、あとはバイエルン人民党(ＢＶＰ)だけです。
帝政復古後にヴィッテルスバッハ家によるバイエルン統治を復活させることを約束すればこちらに付くでしょう。
私としても断る理由はないな。カエサルの物はカエサルに、というわけだ。
了解です。
それで、君たちの計画ではこの後はどのような風に事は進んでいくのだ？
わかりました。説明しましょう
まずはオランダにおわします陛下に、ＤＮＶＰの党首となっていただきます。
それで、今年の大統領選にＤＮＶＰ代表として出てもらい、当選させる。そうすれば事実上の帝政復古です。実に単純な話です。
なるほど、そういうことか。ならば私は喜んで今年の大統領選挙から降りよう。
しかし、立候補するにはドイツ人でなければならない。帝室のこの国からの追放を国会は解除するだろうか？
そのためにブリューニングの頃から国会に根回しをしてきたんでしょう？帝室の追放解除は右派勢力は絶対に賛成しますし、あとはＳＰＤが賛成しさえすれば大丈夫です。
そうか……少しオランダに行ってくる。
え！？あ、な、なんでです？
まぁすぐに分かるさ。
＊＊＊
1932年8月 ドイツ国会
……皇帝陛下及び帝室のドイツへの帰還を可能とする物であります。
質問です。先程あなた方は帝政が復古されても議会は尊重されると話しておりましたが、当の皇帝陛下はそれについてなんと？
……
皇帝陛下はその約束を知らなかったということで反故にされるのはいただけない。我々は確証が欲しいのです。
それは次回の答弁時に……
議論中のところ申し訳ないが、議員諸君。ここにある蓄音器に耳を傾けていただきたい。
閣下、どういうことです？
まぁ聞いていてくれ。
ｼﾞｼﾞｼﾞ…
ｼﾞｼﾞ……ドイツ国の国会議員諸君。私は諸君の一番の懸案事項について、話しておきたいと思う……
これは……
このお声は、まさか……！
静まれい！陛下の玉音であるぞ！
もし私が復位することができるならば、私は現行の国会を帝国議会として定め、現在とほぼ同等の権利をそれに与える。
そして、社会主義政党に関しては、これを認める。
我がホーエンツォレルン家の威信にかけて、私はこれらのことを誓おう。
私は諸君らが最善だと思う方に票を投じることだけを望む……
短い録音であったが、議員たちにとってはそれで十分だった。議決となると右派政党はもとよりＳＰＤまで賛成し、反対したのＮＳＤＡＰの一部と共産党だけであった。ドイツ国会が帝室の追放解除を議決した翌日、帝室の追放は解除された。
ここにドイツ帝政復古への道が本格的に開かれたのである。
鷲は舞い降りた †
1932年9月 ベルリン＝フリードリヒ通り駅
この日、この駅には世界中のマスコミというマスコミが詰めかけていた。
君がパーペン君か。
はっ。ドイツ国首相フランツ・フォン・パーペンでございます。
君は軍人の出らしいのう。なるほど軍人らしいハキハキとした挨拶じゃ。気に入った。
パーペンとヴィルヘルム・フォン・プロイセンの対話の様子はドイツ全国だけでなく、世界各地の新聞にも掲載された。そして、ヴィルヘルム2世はその場で大統領選への出馬を表明、対して現職のヒンデンブルクは不出馬を表明した。そして……
まずいな……
右派の票は真っ先に先帝に流れますから、我が党は圧倒的に不利です。
……それでも打って出てやろうじゃないか……！
新進気鋭のＮＳＤＡＰのヒトラーも立候補した。
結果は
ヴィルヘルム・フォン・プロイセンの圧勝であった。台風の目と言われたＮＳＤＡＰでさえも、元皇帝の威光には敵わなかったのである。
チクショーメー！
1932年12月大統領官邸
おぉ……おぉ…
その日、ヒンデンブルクは終始緊張していた。
大統領職を私が陛下に託すなど畏れ多い……！
ハハハ、ヒンデンブルク、そこまで緊張することもないんじゃぞ
逆に私の方が不安じゃ。私は先の戦争の末期、逃げ出した。そんな君主に民は再びこの国を統べるチャンスを与えてくれた。
民の期待に応えることができるかどうか考えると不安で不安でしょうがないわい
いえ、陛下ならばこのドイツを世界に冠たる大国へ導くことができると私は信じております。
新しいドイツが動き出そうとしていた。
補足 †
この話の展開のほとんどが脳内補完からの独自創作です。ＳＰＤとの大連立とかなどそんなイベントは一切発生していません。
あ、そうなの？
